オートファジーと半日断食
最近では、1日のうち16時間は何も食べない半日断食を実践する人も増えてきました。
こうすることで消化の負担を減らしたりするメリットもありますが
最大のメリットとしてオートファジーが働くことだと言われています。
このオートファジーは日本語で自食作用といいますが、まさに自分の細胞を分解して
新しい細胞の材料にするような作用になります。これが実はとても大切な作用になります。
みなさん、ふと疑問に思ったことはありませんか?
ベジタリアンやヴィーガンの人はどこからタンパク質を得ているのだろう?と。
大豆などの豆製品からというのが一般的な回答になると思いますが、そもそも人間の体は、健常な大人であれば1日で200〜300gが代謝で必要と言われています。日本人の平均タンパク質摂取量はわずか70gほどで、如何にこの量が多いのかが分かります。
ちなみに卵1個に含まれるタンパク質量は12g、鶏ささみですら100gで25gです。つまり鶏ささみを1kgが必要になるのですが、毎日そんなにタンパク質を食べる人はいないですよね。
そうです。食事だけで栄養が供給されるとなると、全く足りないのです。
つまり動物の体は、自分の体の細胞を再利用している訳ですが、この再利用の仕組みがオートファジーなのです。
人間含め生物にはこのオートファジーという精密なゴミ処理サイクルがあり、ダメージを受けて壊れた細胞の部品や残り滓や病原性の細菌まで、細胞に溜まってしまったゴミを処理して、アミノ酸や遊離脂肪酸レベルまで分解して再利用しているのです。
この分解は細胞内のリソソームというところで起きます。
ベジタリアンの体を調べても、予測よりもタンパク質は不足していないことは分かっていますが、実はこういった高度なリサイクルシステムがあるためなのです。
断食で起こるオートファジー活性
体の中にはこのような再利用システムがある訳ですが、このオートファジーが最大限に活性化するときがあります。それが断食(ファスティング)中なのです。
断食をして栄養が極端に不足することで、体中のゴミを使って新しい細胞を作る原料にしてしまうのです!これってすごい仕組みだと思いませんか?
これはなんとなく理解できますよね。細胞の原料がなければどこかから調達する必要があるので、それをこのオートファジーというごみ処理と再利用の仕組みが最大限に働くのです。
オートファジーはときどき活性化させてあげるのがいい
体中のゴミは当然放っておけば病気の原因にもなります。例えばタンパク質で正確に構造を作ることができず細胞内に溜まっているタンパク質はそれ同士が結合してアミロイドという状態になり、このアミロイドはアルツハイマー病やパーキンソン病、の原因の一つと言われています。糖尿病患者にもこのアミロイドが多いことが分かっています。体にとってはやっかいなゴミですが、これを分解してくれる仕組みがオートファジーです。
このうまく構造ができなかったタンパク質ができる大きな原因の一つは、インスリンが高濃度なときに起こるミトコンドリアの酸化ストレスによりものだと考えられています。
それ以外にも心疾患、がん、コレステロール値の調整など体にとっては必要不可欠なシステムといえます。
またこの強烈な仕組みは、活性化して自分の細胞でもなお足りないという状況であれば病原性細菌・ウィルス・カビに至るまですべてを分解、再吸収して細胞の材料にしてしまうのです。
こんな素晴らしい仕組み、ぜひ活用したいですよね!
このオートファジーの活性化は半日断食でも十分に起きることが分かっていますので、ハードな断食が必要でもないのです。いわゆる少食が体にいいというのはこういったところにあります。
断食とオートファジー、インスリンの関係
最低16時間の断食でオートファジーが活性化する
どれくらいの断食でオートファジーが活性化するかというと、まだ不透明な部分もありますが16時間程度で活性化するだろうと言われています。
これは前回紹介した半日断食の時間とも一致しますね。
ただし確実に活性化させたい!という人は3日ファスティングして、しっかりと働かせましょう!
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